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【レビュー】「仕事で疲れた社畜の俺に美少女が絡んでくるのだが…」を読んだ感想

【レビュー】「仕事で疲れた社畜の俺に美少女が絡んでくるのだが...」を読んだ感想

皆さんどうもです、亜鈴です。自称オーバーラップ文庫ウォッチャーの私が送る、ラノベレビュー記事。割と、そこそこな、決して少なくはないほどのアクセスを頂いており、皆さんに感謝感謝ですね。

今回レビューしていくのは、2019年11月新刊の「仕事で疲れた社畜の俺に美少女が絡んでくるのだが...」というラノベ。一見すると、よくあるラブコメ?のようなテイストだと思ってしまいますが、初っ端から言ってしまうと「タイトル詐欺が甚だしい」です(笑)

というわけで、どんな感じにタイトル詐欺をしているのか、この辺を含めて全力レビューをしていこうと思います!

「仕事で疲れた社畜の俺に美少女が絡んでくるのだが...」について話しておきたいこと

というわけで、早速色々話していきたいわけですが、最初に仕事で疲れた社畜の俺に美少女が絡んでくるのだが...の概要についてザックリ語っていこうと思います。

この本を買ってみた理由

この本を買った理由についてですが、一言でいえば著者による影響が大きいですね。私は確かにラノベをよく読みますが、この本のタイトルのような、いかにもなラブコメっぽい作品については敬遠してきました(というか一切読んだことがない)。

理由は単純に求めてないから。私がラノベに求めているものはラブや微エロではなく、あくまでファンタジーな世界に没頭できる没入感や、難解な経済や政治などを分かりやすく理解できる知識、これらを基本的に求めているわけです。

疎陀陽先生新刊だから買いました

なので、本作を購入した理由の100%が著者「疎陀陽」先生にあります。疎陀陽先生は以前に、本作と同じオーバーラップ文庫から「フレイム王国興亡記」という作品を排出しており、筆者はこのフレイム〜の大がつくほどのファンだったんです。

詳細は後述しますが、シリーズ通して5回程度は読み返しました。それくらい好きだったのですが・・、まさかの打ち切り?にあったようで、もう彼らの世界に浸ることができなくなってしまったんですよね(でも私はまだ刊行されるって信じてるから!)

著者「疎陀陽」先生について

というわけで、ここからは著者である疎陀陽先生についてザックリ私見で語っていこうと思います。

「フレイム王国興亡記」がめちゃめちゃ面白かった!

フレイム王国興亡記 1 (オーバーラップ文庫)

上述したように、疎陀陽先生はオーバーラップ文庫からフレイム〜という作品を生み出しており、ここから少ないながらも固定ファンを作り出した先生だという認識です。

フレイム〜の内容としては、一言でいえば内政(というより経済)ものかな?とある銀行員「松代浩太(まつしろこうた)」がフレイム王国という国に召喚され、なんやかんやで寂れた貴族の領地に飛ばされて、そこで銀行員としてのスキルを遺憾なく発揮し、領地をガンガン大きくしていく・・、っていう物語ですね。

一応ラノベという体裁を取ってはいるものの、「ラブ:エロ:ファンタジー:経済」という比で表現してみると、フレイムは、「1:0:2:7」このくらいの比率で執筆された作品であり、ラノベっぽくない点が個人的には大好きでした。

また、メインである経済面での描写というか、解説がめちゃめちゃ分かりやすくて、経済に対して強い興味・関心を抱けたのもめちゃめちゃよかった。お金を回すことの大切さを実感できて、銀行とか国家の財政面での役割をザックリかもしれませんが、ラノベで理解できたのがすごいっすね。マジで面白いので未読の方は是非読んでみてください。

人物・事象問わず描写が上手で分かりやすい文体

そんな疎陀陽先生の特徴ですが、とにかく色々分かりやすい。上述した経済面はもちろん、ストーリやら人物の心情やら、これらが手に取るように分かるので、これほど読みやすいラノベ作家さんはいないですね。

まあ、「分かりやすい=薄っぺらい」ということにも繋がるわけですが、文庫本とか新書並の経済知識をメインに扱っているので、薄っぺらい印象は全く受けません(というか、分かりやすくしないと作品が成立しない)。また、人物の描写も、直接的に表現するのではなく、表情やセリフなどで表現しながら読者に分かりやすく伝えてくれるので、

「読者に一定の想像を働かせつつ、伝えたいことは伝える」

っていう絶妙なバランス感覚を持っているのがすごいです。読み進めていく上で苦痛を伴わないので、スイスイ読めちゃいます。

[say]疎陀陽先生について話したいのはこんなところだ。フレイム、まだ俺は諦めてないからな!「打ち切り?」・・けせよ、取り消せよ、今の言葉!![/say]

仕事で疲れた社畜の俺に美少女が絡んでくるのだが...を読んだ感想

仕事で疲れた社畜の俺に美少女が絡んでくるのだが…… 1 (オーバーラップ文庫)

というわけで、あらかた話したいことは話し終えたので、ここからは仕事で疲れた社畜の俺に美少女が絡んでくるのだが...を読んでみた感想について語っていきたいと思います。

タイトル詐欺っぷりがハンパねえ!!

仕事で疲れた社畜の俺に美少女が絡んでくるのだが...に関して、一番言いたいことが、ある種清々しいまでのタイトル詐欺っぷりですね。

今回、疎陀陽先生は「仕事」をメインにしているとあとがきでお話ししていましたが、確かにその通りです。シナリオのザックリした流れとしては(主人公:誠)、

  1. 誠が社畜で毎日がつまんなすぎて「死にたい」と呟く
  2. 「じゃあ一年後に死ね!」と死神(美少女)が降臨する
  3. いやいや、やっぱ死にたくない!
  4. じゃあ1年後までに彼女できたら生かしてやる
  5. マジ?じゃあ頑張るわ
  6. 逝き損ねた地縛霊の女の子を誠が成仏させる
  7. 誠の人生観が変わる
  8. 誠が会社でインターン生の担当を任される
  9. 仕事をインターン生と一緒に頑張る
  10. 良い感じになって彼女ができそうになる

こんな感じ。タイトルにある美少女とは死神のことであり、六百六十六万六千六百六十六柱いる死神の中で17番目に偉い存在ながらも、上司(もちろん死神)の浮気をTwitterで暴露したら大目玉食らって下界(人間界)に左遷させられたんだって。ここまでぶっ飛んでる設定だと、逆に好き。変にリアリティあるよりはすんなり受け入れられるしね。

そんで、死神の仕事は魂を適切に「廻す」ことであり、死にたいと呟いた誠の魂を廻すためにも誠に取り憑いた(居候として)ってのが流れです。当然、「あなたは一年後に死にます(死神からのお告げ)」なんて言われたら、誰でもそりゃ「嫌だ、死にたくない」となるわけじゃないですか。

そこで「じゃあ死と対になる生を産み出す行為をしたら本来の寿命に戻してやる」として、まあつまり彼女作って子供作れって話になりました。死神ってイメージだとただ殺戮を楽しむ、みたいなものかもですが、

「死後の魂を適切に扱って、新しい生へと廻す」

これが本来の死神の役割なので、生物として種の生存に貢献しろ。そしたらお前の命(生)を認めてやる。って感じでしょうか。

ラブコメみたいなのを想像するじゃん?

で、当然「美少女が絡む」なんて言われたら、ラブコメ的なのを想像するじゃないですか。まあ、確かに同棲はしてます、美少女JKと。でも死神ですからね。しかも死神界で17番目に偉いからね。

そんなのが下界に来て、「恋愛したら1年後に死ぬ予定を無くしてあげる」なんて条件から、主人公の人生が大きく変わっていく・・、っていう物語なので、美少女が絡むというよりは人生変わった的なね、そういった感じだよね。

「仕事で疲れて"死にたい"と呟いたら、美少女(死神)が降臨して人生変わった件について...」

美少女を入れながらタイトルをつけるとしたら、だいたいこんな感じかなと。美少女と絡むシーンはほぼなく、どちらかというともうちょい重ためな、人生観的な部分まで踏み込んでいるので、無理にラノベ要素を取り入れなくても良かったのではないかなと思ってます。

前作「フレイム」はラブコメ要素が少なかったという評を気にしてのことだったらしいですが、ぶっちゃけ疎陀陽先生の作品にラブコメ要素は期待してないんですよね、少なくとも私は。

それよりも、例えば経済の知識とか、銀行とか会社とか、その辺の知識とか、そういったものを語りたいだけ語ってもらって、その上で自然ななりゆきで登場人物同士がくっついたら良いよね、みたいな。そんなのを期待してます。

疎陀陽先生ラブコメ苦手説?

あと感じたのが、疎陀陽先生がラブコメ苦手なんじゃね?っていう説についてです。ストーリ上で主人公の誠は、3人の登場人物から好意を寄せられます。

ヒナ
死神。なんやかんで好きになった。まあ予想通り。
中町凛
誠の同級生の妹。昔から誠のことが好きだった。
水谷玲子
インターン生。仕事を一緒にこなしていく中で、好意を寄せていく。

簡単に説明するとまあこんな感じ。で、まあ同級生の妹である凛に関しては良いんです。昔から色々世話を焼いてくれた人間に好意を寄せる、ってのは鉄板ですし。

ただね、ヒナと玲子がちょっと「うーん・・」って感じ。両者ともに誠を好きになる描写というか、過程があまりにもお粗末。ヒナについては現世への執着で地縛霊となっていた知らない女の子(の魂)を、誠が頑張って成仏させた姿を見て好きになってますが、ちょっと単純すぎかなと。

そして玲子については、マジで突然好きになってます。読み進んでいたら「え?なんで?」って感じでいきなり好きになっているので、ちょっとおいてけぼり食らったかなと、そんな感じです。

まあでも、そこまでヒドイわけじゃないんですよ?ただ、疎陀陽先生の物語ってかなり緻密というか、経済とか仕事とか、その辺は非常に練りこまれている感じがするので、そんな中での恋愛面がスカスカだと、余計に目立っちゃうよね・・、ってイメージ。大筋のストーリーがしっかり作り込まれているので、ラブコメ面もそこに合わせないと読者がかなり違和感を感じてしまうように感じました。

ラブコメ苦手なら、ラブコメ苦手でも良いと思うんですよね。でも私はフレイムでの恋愛要素、かなり好きでした。ほとんどのラノベが軽々しく登場人物の感情を動かして、過剰にラブコメ要素を入れようとしている中で、男女どちらも控えめなあの雰囲気、好きな人多いと思います。

ので、もし次巻があるのなら、ラブコメ要素はフレイムよりは入れるとしても、そんなに意識しなくて良いんじゃないかな。ぶっちゃけ基本となるストーリーや設定が面白すぎるので、逆にラブコメ要素がノイズになる可能性すらあるんじゃないかなと私は思ってますからね。

他作品とのクロスオーバー・・、ありがとう(泣)

とまあ、タイトル詐欺であることを語ったところで、他に語らないといけないのはやはり、疎陀陽先生の他作品とのクロスオーバーについてでしょう。

仕事で疲れた社畜の俺に美少女が絡んでくるのだが...を購入した読者のほとんどは、もちろん私もそうですが、フレイムの読者が多かったと思うんですよね。というわけで、

[say]なんでフレイムの新刊じゃないんだよ・・[/say]

と全員が落胆していたと思うのですが、ちゃんとフレイム要素も取り入れてくれてて、もうほんとありがとうって感じでした。

住越銀行世界で地銀

まず私が感動したのは、「住越銀行」というワードが出てきた時です。この銀行は、フレイムの主人公「松代浩太(コータ)」が、フレイム王国に転生前の現代で勤めていた銀行なんですよね。

で、コータが寂れた領地「ロンド・デ・テラ」にて発行した、異世界初となる「紙幣」の裏に偽造対策、異世界からすれば異世界語である日本語にて、

「住越銀行世界で地銀」

という超皮肉めいた文言を記載していたくらいには、フレイム内にて住越銀行というワードが存在感を放っていたわけですが、まさかの仕事で疲れた社畜の俺に美少女が絡んでくるのだが...では、主人公が勤めているのが住越銀行系列の「住越商事」ですからね。

しかも、誠の幼馴染の徹に関しては、コータと同じ住越銀行勤務だからね。しかも徹の直接の後輩がコータってことも書かれてるからね。そりゃフレイムファンにとっては鼻血ものですよ。興奮してやばかったです。

[say]うっわ、コータ出てきたよ。マジであのコータか。つーかコータめちゃ有能やんけ。[/say]

感想としてはこんな感じです。フレイムでは自分のことを常に卑下していたコータですが、実は全然そんなことなかった。大学の寄付講座に出張して、大学側と懇意になってコネ作っちゃうくらいには有能だったので、まあやっぱりコータはすげーんだなと感じましたよ。

それと同時に早くフレイム新刊出せとも思ったよね。マジで待ってるから、もし先生とかオーバーラップの方がこれ読んでくれたなら、本当にマジで出してください。オーバーラップ文庫ウォッチャーの私が全力でブログ書いてバズらせますから(大嘘)。

今後の展開が超気になる!早く新刊をくれ

というわけで、ちょっと今回のレビュー記事はかなり適当というか、話したいことしか話してきませんでしたが、まあブログだしいいよね。

色々語ってきたわけですが、今後の展開が超気になります。誠がインターン生である玲子と共に「命をかけて」作り上げた田舎への大学誘致プロジェクト。これのプロジェクトリーダーになった誠が、今後どのように大学誘致を行なっていくのか、気になって毎晩8時間しか眠れません。

住越商事内にはいくつかの派閥があり、当然誠のプロジェクトを妨害しようと色々な人間が悪知恵を働かせて来るはず(フレイムのホテル・ラルキアの時のように)。そんな中で、ちょっと前まで仕事がつまらなくて「死にたい」と呟いてしまうくらいには社畜だった誠が、果たして一大プロジェクトを完遂させられるのか。

そして、一年後に控える誠の「寿命」は一体どうなるのか。無事彼女を作り、子作り的な行為をし、死神に認められて生き続けることができるのか。注目ですね。

仕事要素と恋愛要素、両者に注目だ!

んー、今書いていて思いましたが、確かに本作では、

  • 仕事
  • 恋愛

この2つがうまくミックスされてるような気がします。なんというか、仕事に人生捧げるのはいいけど、そしたら彼女できなくて死んじゃうよね。でも玲子と作り上げた仕事を完遂させたいよね。みたいな、この辺のシーソー的なバランスが巧みで、こう考えると本作のラブコメというか、恋愛要素はかなり考えられているような気もする。

ただ、やっぱり女性の気持ちの変化、これがかなり雑なので、この点については今後に期待したいです。

あとね、今思いついたんだけど、フレイム新刊出せないならさ、いっそのこと本作の世界観にエリカやらエミリやらソニアやらロッテやらを転生召喚すればいいんだよね。死神の力使えばそのくらい余裕っしょ。そうすればフレイム新刊出さなくても許す!終わり!

まとめ

というわけで、話したいことは話し終えたのでこの辺で終わります。

まあ、めちゃめちゃ面白かったです。未読の方は本当に読んだ方が良いですね。特にラブコメチックなものでなく、ストーリー面や知識面を重視したい方には、ぜひ読んで欲しいです。

というわけで今回はこの辺で。お疲れ様でした。

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亜鈴
どうも、Webライターの亜鈴です。このブログは別に大したものではなく、自分が感じたことや思ったこと、おすすめしたい商品など、色々なことを自由に書き連ねていく場所、つまり日常譚です。自分の経験が誰かの役に立ったら嬉しいなぁ。