【衝撃のラスト】灰と幻想のグリムガルLevel.14++のレビューと考察

皆さんどうもです、亜鈴です。令和元年の6月25日、灰と幻想のグリムガルlevel.14++が発刊となりました!グリムガルの新刊ということで、筆者も発売日にKindleで購入して、早速読んでみたところ・・、うん、やっぱりグリムガルっていいよね。

特に今回のお話はユメメインというなかなかに珍しい内容となっているため、ファンとしては見逃すわけにはいきませんでした。というわけで早速、Level.14++のレビューを始めていきます。

灰と幻想のグリムガルlevel.14++の概要とあらすじ

グリムガル14++ソルゾ最高

引用:灰と幻想のグリムガルlevel.14++ – オーバーラップ文庫公式サイト

まずは概要とあらすじからご紹介。

概要

まず概要ですが、本巻は正式なナンバリングタイトルというわけではなく、あくまで本編に付随的なサイドストーリーのオムニバス形式となっています。収録されている内容についてはこちら。

14++の収録エピソード
もし君とまた会えたなら
アニメのBlu-ray購入特典。モグゾー・ランタ主人公で、彼らの戻ることはない友情を描く
昨日までのわたし
アニメのBlu-ray購入特典。メリィ主人公で、過去と現在が交錯するモノローグ
お楽しみはこれからだ
アニメのBlu-ray購入特典。デッドスポット撃破後の賞金の使い途にフォーカス。あの頃の懐かしさが心にくる
月下に吠ゆる私は狼
完全書き下ろし。ユメ主人公でパーティーから離れた「その後」を描く

見てわかるように、本巻は一編の書き下ろしを除いて、アニメBlu-rayの購入特典に付録したSSがメインとなっています。これは前巻「Level.14+」と同じ構成で、Blu-ray買った人からすればちょっとアレですよね・・(笑)

まあでも、ユメ主人公の「月下に吠ゆる私は狼」は絶対に読んでおきたいので、買わないわけにはいきません。てな感じで、今回筆者は75%が既読だとしても、しっかり購入を決意しました。

あらすじ

続いてあらすじについて。ガッツリネタバレしながら話していくので、ネタバレが嫌な人はブラウザバック推奨です。

なお、このレビューでは新規書き下ろし「月下に吠ゆる私は狼」についてのみ扱っていくので、他のSSの内容について気になる方は、素直に買っちゃいましょう。特に「もし君と会えたなら」は、モグゾーの一人称視点で話が進められるという、超貴重な物語となっており、モグゾーのパーソナルな部分まで扱われているファンにとっては大変魅力的な一本となっていますよ!

1:舞台は無人島

というわけで早速あらすじを書き連ねていくわけですが、舞台は無人島。初っ端からモモヒナと稽古をしているワンシーンが取り上げられます。自分がもっと強くなるために、大好きなパーティーを離れてまでモモヒナの元にいる決断をしたユメだったので、ここは納得。

しかし、どうやら事情が少々・・、いや、かなり異なるようで、なんとユメとモモヒナは乗っていた「ネオ・マンティス号」が難波し、結果的に二人だけで無人島に漂流したということです。これだけでもぶったまげたのに、さらにアレなのが時間軸ですよ。二年半です二年半。二人は無人島に二年半も滞在しているということで、ランタといい時間軸のインフレが止まりません。

そしていつも通りモモヒナと稽古をしていると、なんと船が近くを通りがかったじゃありませんか。そこから色々あって、珊瑚列島まで戻れることになりました。

2:キサラギたちと合流

そしてユメとモモヒナはK&K商会の「ローズ・バッハ号」という船を見かけ、そこには商会メンバーのキサラギご一行が乗船しています。感動の再会を果たし、グリムガル、ひいてはオルタナへと戻れることになりました。

3:レンジパーティーと合流

そしてグリムガルまでの船に揺られていると、「あの男」がここでようやく登場します。そう、レンジです。もうね、マジで感動ですよ。

亜鈴

うっわレンジじゃん、やば。ずっと気になってたからホント嬉しい。

こんな感じで興奮しっぱなし。レンジの変化などは後ほどの考察で語りますが、事実としてサッサが死んだことが明らかになりました。逆に言えば、ロンを始めとした他のパーティーメンバーは健在ということで、ちょっと安心かな。ワンチャンレンジ以外全員死んだ説まで考えていたので。

4:グリムガルへ到着

船はグリムガルへと到着し、ここから風早荒野を抜けて天竜山脈を進めば、オルタナです。一時的にレンジパーティーに加わったユメがなんか不思議な感じ。

5:オルタナへ到着

オルタナに到着すると、まずレンジご一行はブリトニーの元へ挨拶に向かいます。そこで「ハルヒロパーティーが行方不明」ということを正式に知らされ、愕然とするユメ。また、「デッドヘッド監視砦が落ちた」という嫌な情報も伝えられます。

そして一人になり、狩人ギルドまで行くと、メンター(師匠)である「イツクシマ」と感動の再会。「いい話だなー」で終わるかと思いきや・・。

6:オルタナに敵勢力侵入

感動もつかの間、オルタナの北門が強引に開けられ、不死族・オークが一挙に押し寄せてきます。オルタナは人間族を後退させた旧諸王連合の領土と、ちょうど向かい合う位置にある前線基地みたいなものだったので、敵勢力からすれば「落としたい場所」なんですよね。

あっという間にオーク・不死族に囲まれたユメ。絶体絶命かと思いきや、そこにフォルガンのタカサギが現れ、彼とタイマンをすることになります。これはこれで絶体絶命であり、もう終わりか?というところで・・。

7:「仮面男」登場

タカサギに斬られそうになった寸でのところで、仮面男が登場します。別名「ランタ」です。ユメにとっては最高のタイミングで、狙ったと言われても不思議じゃないですが・・(笑)

そしてなんとタカサギを劣勢に追いやるほどの強さを見せ、ユメは、

「ランタと一緒なら、絶対にこの苦境を脱することができる」

引用:灰と幻想のグリムガル LEVEL.14++ もし君と会えたなら – オーバーラップ文庫 – 十文字青

と確信するに至ります。こうして、物語は幕を閉じました。

とまあ、「月下に吠ゆる私は狼」はこんな感じでした。非常に読み応えがあり、さらに新事実が次々に発覚する怒涛の展開だったので、食いつくように読み進めてしまうほどの没入感。いやー、さすがですね。

灰と幻想のグリムガルlevel.14++の情報整理と考察

グリムガル14++キャプチャ

というわけで、あらすじについてザックリ紹介したところで、ここからは情報整理を兼ねた考察について進めていきます。

1:ユメ

まずはユメについてです。二年半もの間、ずっとモモヒナと二人で訓練していたということで、ランタ同様にめちゃめちゃ強くなってます。

具体的には、オルタナでオークと不死族を相手にした際、オーク・不死族数体とでも軽々斬り結んでいて、今や以前の火力不足のユメではなくなっててビビりました。

ユメについてはこれくらいかなと。主人公ということでしたが、ユメのパーソナリティについてはこれまでも結構一人称視点で話が進められたところがあったので、それほど乖離はなかったです。

ほんわかしていながらも、若干のピリッとした感じが成長したなってくらい。

2:レンジパーティー

個人的にかなり気になったのが、レンジとパーティーについてでした。まずレンジですが、明らかに変わってます。風貌とかではなく、内面が成長している。

レンジたちは「赤の大陸」にここ数年滞在していたようで、そこからオルタナへと帰る船を待ってて、たまたま乗船した船がキサラギたちK&K商会の船「バッハ・ローズ号」だったわけです。ユメもそこに乗船してました。

で、赤の大陸に渡った理由が、「狭苦しかったから」ということ。なにやらオルタナのガーラン・ヴェドイー(アラバキア王国の辺境伯)に会いたいと言われ、それを断ったら面倒なことになったようでした。

辺境伯というのは、平たく言えば「貴族」のことで、人間族が属するアラバキア王国から「オルタナ」の統治を任されているってイメージです。そこのトップから「会いたい」と言われるわけですから、まあ政治的なニオイがプンプンしますよね。この辺は実力者の苦悩といったところでしょうか?

ただ、レンジがこのような面倒ごとを嫌うのもわかるので、まあ色々あって「メンドクセ」となってしがらみがない「赤の大陸」まで逃げるように移動したのでしょう。

ちなみに、赤の大陸とは腕がめっちゃ長かったり、目がたくさんあったり、まあ色々な種族がいる大陸のことで、「グリムガルとは別の大陸として認知」されています

私はグリムガルを世界の名称だと思っていて、「地球」的なイメージですよね。ですが事実は異なり、グリムガルとは「ユーラシア大陸」のようなもので、大陸の名称であることが発覚しました。

そして赤の大陸はグリムガルからは非常に遠いらしく、海をかなり長い時間かけて渡らなければいけないような、そんなところ。で、グリムガルと赤の大陸の間にあるのが、ハルヒロが「ドラゴンライダー」となったエメラルド諸島などがある「珊瑚列島」となる・・、こんな感じ。

サッサが死んだ

そしてレンジの内面を語る上で欠かせないのが「サッサの死」です。細かい描写はされていませんが、赤の大陸にて死んだことは確定事項。サッサはもちろんハルヒロたちと「同期」であり、レンジに「なんでもする」という形で頼み込むようにしてパーティーに入れてもらった、そんな女性。

個人的にはサッサに対してそこまで強い思い入れをレンジが持っているとは思えなかったのですが、この辺は成長したのでしょう。サッサが死んだことに対して非常に落胆しており、ユメとの会話のなかで、

「本当に一人なのは、死んじまった奴だけだな・・・」

引用:灰と幻想のグリムガル LEVEL.14++ もし君と会えたなら – オーバーラップ文庫 – 十文字青

このような弱音、本音を吐き出します。具体的にどこが成長したとかは曖昧なのですが、単純に「他者に対する価値観の変容」が見て取れて、パーティーを「仲間」として捉え、大切にする部分が目立った気がします。

また、ユメを含めたハルヒロ、もとい「マナトパーティー」に対して、誤った考えを抱いていたことも明らかになります。初めは「使える使えない以前に、全員死ぬ」とさえ考えていたのに、今や「暁連隊」の一員ですし、「行方不明になった」ことが噂になるような、そんな存在です。

このような事実から、

「人を見る目があるつもりだった」

引用:灰と幻想のグリムガル LEVEL.14++ もし君と会えたなら – オーバーラップ文庫 – 十文字青

と自らの過ちを認め、ハルヒロたちを心の底から認めているような、そんな描写が見て取れました。この変化の過程には色々あったのだと思いますが、やっぱレンジカッコ良いわ。

亜鈴

レンジ登場時の白井先生のイラストもマジで最高だった。特徴である銀髪でレンジと確信させつつも、背中に残る無数の傷跡で彼の歴史を表現する。これだけでも買う価値があると思えるような、本当に素晴らしいイラストだ。1巻の表紙はお世辞にも上手いとは言えなかったのだが、白井先生の成長はレンジさえ凌駕する。

キサラギ(K&K商会)

続いて考察したいのがキサラギを含めたK&K商会の面々についてです。キサラギはグリムガルのスピンオフ「大英雄が無職で何が悪い」の主人公であり、K&K商会はキサラギを指導者として、以下の主要メンバーで構成されるグループのこと。

K&K商会
アンジョリーナ・クレイツアル
K&Kの女社長であり、バッハ・ローズ号の船長でもある。かつてキサラギの片目を奪った後「大英雄」の連載がストップしたので、詳細がわからない。
ジャンカルロ
K&K専務。自由都市ヴェーレで飲んだくれをしていたが、キサラギと涙の島へと渡り、以降パーティーに加わる。
イチカ
K&KのHPO。キサラギと共にグリムガルへと来た同期であり、パーティーメンバーでもあった。神官。
ミリリュ
K&KのEDO。天然キャラだが、生まれはエルフの名家「メルキュリアン家」であり、継嗣でもあったのだが・・。
ハイネマリー
K&KのDYO。ドワーフらしい勝気な性格だが、一方でキサラギには甘えまくる。恋愛観がちょっと壊れてる。
ギンジー
サハギンでユメがもともと乗船していた「ネオ・マンティス号」の船長。里でニートをしていたが、キサラギに感化されパーティに加わる。性格ゴミ。

もともとキサラギはモモヒナとイチカと一緒にグリムガルへと転生され冒険が始まりましたが、今や指導者ですからねスゴイ。

で、イチカ・ミリリュ・ハイネマリーの役職ですが、その意味は以下で解説します。

3人の役職
イチカ:HPO
「ヒーリングパートナーの女」の略称
ミリリュ:EDO
「エルフのダメおっぱい」の略称
ハイネマリー:DYO
「ドワーフの夜這いする女」の略称

まあおふざけですよね(笑)CEO的なノリでキサラギが付けたのだと思いますが、結構分かりみが深いです。詳細は絵大英雄が無職で何が悪いを読めばよくわかると思うので、気になる方は読んでみてください。

キサラギご一行の動向が明らかになってきた

さて、そんな「大英雄が無職で何が悪い」の面々ですが、原作の方が3巻で止まっており、「なろう」の方も途中で連載が止まっているので、詳細がわかりませんでした。

しかし、今回の描写で以降の物語を推定できる要素が出てきたんですよね。そもそも、キサラギは物語の序盤で「ソウルコレクター」という魔剣を偶然ゲットし、物語はそこから始まります。ソウルコレクターは切った相手の魂を吸い上げて、自分の糧にする・・、要は相手に触れるだけでKOできて、さらに自分は回復するわけですから、チートですよね。

このチート手段をゲットしてエルフの里「影森」へと足を運んで、色々あってミリリュが仲間になるわけですが、その過程で魔剣「ソウルコレクター」を不死族に奪われてしまいました。もともと不死族の剣なのかはわかりませんが、キサラギがこの剣をゲットしたのも不死族と人間が相討ち状態になっているとこから奪ったので、不死族からマークされていたというわけです。

そしてここで重要になるのが、K&K商会が所有している船「バッハ・ローズ号」。この船は本文中で「イゴールのデレス・パインから奪った」ということが描写されています。

イゴールというのは地名のことで、人間族の領土であった旧イシュマル王国の港湾都市を意味しますが、今は不死族が実質統治しており、その主が「デレス・パイン」なわけです。

要するに、キサラギたちは不死族の縄張りまで殴り込んで、デレス・パインと接触。そこで武力衝突があった結果、勝利してバッハ・ローズ号を奪った・・というストーリが組み立てられます。もしくはデレス・パインと海上で遭遇し、そこから遭遇戦を制した・・みたいな。

いずれにせよキサラギたちが不死族と接点を持ったことは明らかであり、その動機について考えるとなると、自然と「ソウルコレクター」の不死族からの奪還が浮かび上がってくるってことです。

キサラギがソウルコレクターを奪還しようとイゴールまで乗り込んだのかどうかは定かではないですが、仮にソウルコレクターがキサラギの手にあるとなると、グリムガルの中での勢力図は大きく変化します。

だって、触れるだけでKOできる剣ですよ?しかも切った本人は回復するおまけ付き。軍隊1つと変えてでも欲しいと思うのが当たり前で、これが人間族の手に渡るとなると不死族は相当な痛手ですよね。

まあ全て推測の域を出ないわけですが、グリムガル本編にソウルコレクターが登場するのはいつなのか、注目したいポイントです。

亜鈴

また、不死族は「元の世界」へと繋がる鍵を握っているとソウマをはじめとした人間族は考えているため、人間族・・、というより「元地球人達」が不死族との接点をどう作っていくのか、今後が楽しみだ。

グリムガルの勢力図

続いて考察していきたいのが、グリムガルの勢力図についてです。

前巻「Level.14+」の仮面友情において、不死族とオークの連合勢力が、ついに人間族へと戦争を仕掛けたことが明らかになりました。よってこれからの勢力図が気になっていたわけですが、オルタナ義勇兵団レッドムーン事務所の長、ブリトニーの、

「デッドヘッドが落ちた」

との言葉で、戦争がとてつもない速さで進んでいることが明らかに。デッドヘッドとは「デッドヘッド監視砦」のことであり、もともとはオークたちが人間の死に首を砦にぶら下げていたことから「デッドヘッド(死の首)」と呼称されていた、オーク族の牽制拠点だったわけです。

要はオーク族の最前線であり、そこと睨み合う形で人間族の最前線「オルタナ」があったわけですが、人間族も黙ってはおらずデッドヘッド監視砦を落とそうとしました。それがモグゾー、さらにはチョコを含めた旧クザクパーティーが命を落とした「兵団司令(オーダー)」だったわけで、この作戦により辛くもデッドヘッド監視砦を落とす、言い換えれば人間族の領土とすることに成功。

しかし、今回そこが「落ちた」わけですから、オルタナの目と鼻の先まで敵勢力が及んでいることを示唆したわけで、案の定オルタナまでオーク・不死族の連合軍が押しかけたわけです。

このまま人間族が後退してしまうのか?

そこで注目なのが、このままオルタナが落とされて、人間族がさらに後退してしまうのかという点。ここが落ちるといよいよ人間族の本土アラバキア王国まで、連合軍の手が及んでしまうので、どうにかしてオルタナを守ろうとするでしょう。政治的にはオルタナめちゃめちゃ大事ですからね。まあ、そこの防衛をボロクソにこき下ろされてるアラバキア正規軍と実質傭兵である義勇兵に任せてるわけですから、人間族のリスク管理も相当おざなりなわけですが。

敵勢力は非常に手強く、基本スペックで人間族を上回るオークと、戦闘力に優れる不死族の連合なわけですから、このままいけば確実にオルタナは落ちるでしょう。

一方で、人間族にとっての朗報がいくつかあります。中でももっとも大きいのが、相手は決して一枚岩ではないという点。本文中でフォルガンのタカサギが出てきたことからも分かるように、連合軍はフォルガンを味方として取り込んでいますが、フォルガンは「Level.14+」のランタの言葉を借りれば、

「フォルガンにはタカサギのオッサンも、・・・人間だっているんだ。生まれとか、種族とか、一切関係ねえ。自由な連中が、ジャンボを中心にして結束してる。そういう集団なんだ。」

引用:灰と幻想のグリムガル LEVEL.14+ 相変わらずではいられない – オーバーラップ文庫 – 十文字青

こういうグループなんですよね。じゃあなんで自由なフォルガンが縄張り争い(戦争)に参加しているかと言えば、ウェゼル曰くオークの王である「ディフ・ゴーグン」が人質をとって、ジャンボを懐柔し、フォルガンを配下に入れたということ。

要するに「嫌々参加してる」わけですよ。人質という要素さえ排除されれば、すぐにでも敵になるような勢力を組み込んでいることからも分かるように、連合軍が圧倒的に強くて一枚岩になっているというわけでもないわけです。

で、あるならば、この辺を突けば人間族にも勝機が十分にある。というか、個人的には連合軍が「焦っている」とさえ思えるくらいの動きを見せているので、裏には何らかの政治的意図があるように思えてなりません。

「裏ボスvs全勢力」という構図もありえるか・・?

ここからは完全なる私の憶測なのですが、グリムガルの1つのテーマとして「平等」があると感じています。こう感じる根拠は、

  • キサラギの価値観
  • ユメの成長
  • 登場する種族の多さ

これらですね。キサラギの価値観については「大英雄」の割と初期の方から目についていて、「大英雄」1巻でキサラギは、人間の首がぶら下げてある「デッドヘッド監視砦」を見ても、特に違和感なくオークという種族を受け入れ、理解することができていました。

しかし、一般人であるイチカもそうでしたが、私自身も、まず間違いなく人間の首がぶら下がっていたら「野蛮だ」と感じる自信がある。なぜか。それは、「身内」である人間の首がぶら下がっているなんて明らかに「普通」じゃないですし、そう感じるのが「当たり前」じゃないですか。

でも、ど田舎に住む私の家の目の前にある畑には、カラスが寄ってくるのを防ぐために、カラスの死骸をぶら下げています。それも首ではなく、全身です。しかも、この「遺体」は、市役所から無償で提供してもらえるということで、自治体公認なわけですよ。

これとオークの「デッドヘッド監視砦」、一体何が違うのでしょう?ええ、理屈では「同じだ」と思うのでしょう。でも、いざ目の前にして「同じ」と思えないのが普通です。それでもなお、キサラギは受容しきれた。この主人公の価値観から、グリムガルには「種族」というテーマ、もっと言えば「平等」というテーマが内在されていると思っていました。

そして本巻では、ユメがこのようなことを感じています。

「本来はオークも、不死族も、ゴブリンも、コボルドだって、敵でも何でもないはずだ。」

引用:灰と幻想のグリムガル LEVEL.14++ もし君と会えたなら – オーバーラップ文庫 – 十文字青

転生当初は「生きるために」と、ゴブリンを仕留めまくるしかなかったわけですが、自分に余裕が生まれ、その上で争いを目の前にしてみると、「別に敵じゃなくね?」と思うに至ったってイメージですよね。これはちょうど今を生きる私たちと同じで、100年前は現在先進国と呼ばれる国々は敵同士であり、その国民も「敵同士」と感じていたわけです。

だからこそ、「国のために・敵を殺すために」と、平気で命を捨てられた。全員が全員ではもちろんないと思いますが、本気で外国人を敵と考えるのが普通でした(と、私は思ってる)。一方で、今はどうでしょう?スマホでツイッターを開けば、かつては「敵」だった国の面白動画を日本人同士でシェアしてる。

こんな状況で、果たして「敵を殺すために」と、昔と同じことができるでしょうか?私は無理ですね。まあ時代背景も違いますが、生きることに余裕が生まれて、自分が生きることより周りが見えるようになると、「別に敵じゃなくね?」と思うわけです。日本人は人種という概念が弱く、宗教的にもソフトな国なので、なおさらこの傾向が見られると思います。

長々と語ってきましたが、このような構図を作るためにかどうかはわかりませんが、グリムガルには多種多様な種族が登場しますし、最終的には「裏ボスvs全種族」という方向へと持ってくのかな的な、そんなことを考えています。

亜鈴

裏ボス候補は正直わからない。が、セオリー通り行くなら、不死族が関係してくるだろう。今回の戦争も表立って出てくるのはオークだが、後ろで不死族の誰かが糸を引いているように思えてならない。

ハルヒロパーティーの今後

さて、そろそろ最後の考察に入っていきますが、「ハルヒロパーティー」の今後については絶対に欠かすことのできない考察でしょう。

ということで色々考えてみたんですが・・、現時点では情報が足りなくて推測の域を出ないってのが本音です。まあでも、色々考えるために、これまでの出来事をランタがパーティーを抜けた時を基準点として、時系列で考えてみます。

まず明らかになっていることが、「仮面友情」でのランタはパーティーから離れて「3年」という描写があります。そして本巻「月下に吠ゆる私は狼」では、ユメがパーティーから離れて2年半である描写があります。

そして「月下に吠ゆる私は狼」のラストでは、ユメとランタが再会を果たしますが、この時点で両者とも「3年・2年半」という時間はそれほど経過していないことが考えられるので、ランタがパーティーを離れてから、ユメがパーティーを離れるまで「半年」の間が空いたことが考察可能です。

つまり、ハルヒロたちがレスリーキャンプからパラノへと足を踏み入れたのは、ユメとランタが再会する、少なくとも「2年半前」ってこと。まずこれを覚えておいてください。

で、ハルヒロたちはパラノから出ると、ひよむーと謎の人物に薬物らしきものを投与され、記憶をなくし、再び「アウェイク(目覚めよ)」という原作1巻のような状態になってしまっています。

普通に考えるなら、記憶を失ったハルヒロたちがいるのはオルタナであり、となると、「アウェイク」したハルヒロ・クザクなどの面々は、オルタナのレッドムーン義勇兵団事務所へと送られるはずなのです。ブリちゃんのところにね。

そして、もしこうなっているならば、「ハルヒロパーティーが行方不明」という噂が流れるわけがなく、「ハルヒロパーティーは発見されたが、全員記憶を失っている」という噂が流布するはずです。

でも現実はこうなっていない。ってことは、ここで未来が2つに分岐します。

  • ハルヒロたちがパラノに2年半以上滞在していた
  • アウェイクした場所がオルタナじゃないどこか

ハルヒロたちがパラノに2年半以上滞在していた

まず前者の仮説「ハルヒロたちがパラノに2年半以上滞在していた」というのは、つまりユメとランタがオルタナへと帰還した時点で、まだ「アウェイク」していないということ。

単純に考えて「パラノに2年半以上いたか?」と考えると、普通に考えたらあり得ないでしょう。原作1.5巻分のボリュームがあったとしても、グリムガルと同じ時空で描かれているなら「2年半はあり得ない」という結論が合理的です。

一方で、「パラノが精神と時の部屋だった」という仮説を立てるとどうでしょう?実際、ハルヒロも「ここで流れる時間がグリムガルと同じだとは限らない」なんて描写をしていましたし、あの程度の密度だとしても、実はグリムガルに換算すると2年半以上経過していた可能性は十分に考えられます。だって、パラノだしね。

そして、仮にこの仮説が正しいとするなら、「これから」ハルヒロたちはオルタナに出現することになります。火矢が降り注ぎ、オーク・不死族が混乱を作り出しているオルタナに、「名前以外覚えていない」ハルヒロたちが、「名前以外も覚えている」ユメ・ランタと再会することになるのです。考えただけでワクワクする。

亜鈴

逆にパラノで過ごした時間が全然で、ハルヒロたちがオルタナではなく別の場所にアウェイクした可能性は低いだろう。Level.14のラストはLevel.1をオマージュしており、どう考えてもオルタナしか考えられないからだ。

まとめ

というわけで、グリムがる新刊LEVEL.14++のレビューを行ってきました。アニメ円盤特典のSSと新規書き下ろしをミックスして2巻分稼ぐとは、オーバーラップさんもなかなかですよね。

まあ、その間に他社レーベルから十文字先生著作の「僕は何度も生まれ変わる」の新刊が刊行されましたし、最近は密度が濃いラノベ生活を送らせていただいていて、満足しています。

いよいよ次は完全新刊「LEVEL.15」ということで、ワクワクが止まらない。願わくば、パラノのようなごっちゃごちゃな感じではなく、世界全体が躍動するグリムガルらしさが存分に出てくれれば嬉しいです。

この記事で紹介した書籍は以下になります。もしよかったら合わせてチェックしてみてください!

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