うつ病の治療には大きく分けて、
- 薬物療法
- 心理療法
の2種類ありますが、日本で主流なのは前者の薬物療法です。そこでこの記事では、うつ病歴10年で、過去に何種類もの薬を服用していたものの、今では薬を1日1/8錠しか飲んでいない筆者が考える、薬物療法のメリット・デメリットについて解説させていただきます。
※この記事には筆者の個人的見解が多く含まれているので、これが正解というわけではありません。あらかじめご了承ください。
この記事の概要
筆者の病歴・薬歴について
薬物療法のメリット・デメリットについて解説する前に、まずは筆者の病歴・薬歴についてご紹介させていただきます。
18歳で神経症・うつ病発症

筆者が心の調子を崩したのは18歳の時でした。高校を卒業し大学まで進んだところで、色々な面でのバランスを崩してしまい、神経症・うつ病へ。そこから大学院にまで進むものの、結局就活のタイミングで症状悪化でドロップアウト。そこからニートをし、今はフリーのライターとして活動をしています。
筆者の浮上のキッカケは、ニートをしているタイミングで出会った「マインドフルネス」という治療法でした。この治療法は画期的で、自分の気持ちをそのままにしておくことを基本としています。今まで自分の気持ちを変えようとしかしてこなかった筆者には斬新で、マインドフルネスを始めてから1年近くで大分動けるようになりました。
薬は色々やりました。今はレメロンを「1/8」錠飲んでいます。
一方薬歴ですが、10年もうつ病をやっていれば、そりゃ色々な薬を出されますよね。覚えているのだけでもざっと挙げていくと、
- レメロン
- ルボックス(デプロメール)
- アモバン
- ラミクタール
あと4,5種類くらいあると思いますが、名前が今パッと出てこないので割愛させていただきます。現在はレメロンを1/8錠飲んでいて、慎重に慎重を重ねて断薬を行なっています。
ラミクタールの副作用が本当にシンドかった・・
色々と薬を飲みましたが、本当に効果を実感できたのはレメロンでしょうか。それ以外は副作用しか感じませんでした。特にラミクタールはすごかった。
「アカシジア」という副作用が出てしまって、膝がムズムズしてじっとしてられないんです。。布団で寝ることもできないので、夜通し家の中を歩き続け、夜が明けたら数時間ずっとあるいていました。あれは本当にキツかったですね。。
筆者の経験から薬物療法のメリット・デメリットについて考えてみる
筆者の病歴と薬歴について簡単にご説明したところで、ここからは薬物療法のメリット・デメリットについて考えていきます。
メリット
まずはメリットから。
1.人によっては劇的に改善する

1つ目のメリットが、人によっては劇的に改善することがあるということでしょう。うつ病がどういった原因で引き起こされているのかは未だに科学的解明がしっかりなされていませんが、それでもある薬を飲むことで劇的に症状がよくなる場合があります。
丸岡いずみさんがその最たる例
具体的な例を挙げると、キャスター・アナウンサーの丸岡いずみさんは薬物療法で寛解した方の一人です。筆者は丸岡いずみさん著書の「仕事休んでうつ地獄に行ってきた」を発売されてすぐに読みましたが、薬物を使わない心理療法にこだわりすぎるあまり、逆に苦しくなってしまった旨が記述してありました。
そこで薬物療法を試したところ、効果があって劇的に症状が改善したということだから驚きです。
「うつ病 = 脳の病気」ということを印象付ける症例
丸岡いずみさんのこのパターンは、うつ病が脳の病気であるということを強く印象付けます。抗うつ薬は脳内神経伝達物質の量を調節することで、気分を楽にするというカラクリですから、これが効くという事は脳内に異常があったという事なのでしょう。
一方で、薬を飲んでいるだけでは改善しない例もあまた存在しますし、筆者もそのうちの1人です。したがって、「薬が効いたからうつ病は脳の病気」という論調には安易に同意はできません。あくまでも「薬だけで寛解する人もいる」という認識にとどめています。
2.治療方針が立てやすい

メリットその2が、治療方針が立てやすいという点です。うつ病はこころの病気と言われていますが、心という視えないものにアプローチするのはとても難しい。そんな中で、薬でなんとかなるならこれほど楽な事はないですよね。これは治療者・患者それぞれにメリットがあります。
薬以外の選択肢も視野に入れておきたい
治療方針が立てやすいのは良いのですが、正直日本では薬以外に頼るものがないのが現実です。したがって、患者側は薬以外にも何か選択肢に入れておくことが大切だと思っています。本来はその選択肢を与えてくれるのが医療なのですが、まあ日本の精神医療に期待しても無駄です。
今ではネットというものもありますので、自分にとって合う選択肢を粘り強く見つけていくことが大切だと思っています。もちろん、信頼できる情報源を利用するというのが前提ですが・・
3.特に睡眠に良い影響が出やすい

睡眠に良い影響が出やすい点は、素直にメリットであると思っています。
睡眠が取れないのはとてつもない苦痛
誰しもが同じだと思いますが、睡眠が取れないのは本当に辛いですよね。。筆者も眠れないのは嫌なので、それが理由でレメロンを今でもほんのちょっぴり飲んでいます。
今まで様々な薬を試してきましたが、心に思うような影響はなかったものばかりだったものの、睡眠にはどの薬も素直に効いてくれた印象があるんです。睡眠薬と言われるとなんとなく怖いイメージがありますが、医師の指示を守りながら服用すれば、筆者的にはOKかなと思っています。
正直、眠れないストレスが解消されるなら、多少問題があっても飲みたいと思ってしまうので、別に眠れなくても大丈夫って方は睡眠薬は服用しない方がいいのかな。
4.安く済む場合がある
4つ目のメリットが、安く済むということでしょうか。
心理療法は結構する
「薬が安いとか本気で言ってんの?」と思われるかもしれませんが、カウンセリングや心理療法をやろうとすれば保険適用で大体数千円です。回数を重ねていけば当然お金もかかるので、「薬で早急に改善されるなら」という前提で薬物治療は安く済みます。まあ、筆者はもう何年も治らなかったので、薬に頼るのはやめましたけどね。
また、医療機関による認知行動療法などの心理療法だと薬物と併用する場合が多いので、薬だけ・心理療法だけといった偏りはあまりしない方が良いかもしれません。
デメリット
続いて、デメリットについて見てみましょう。
1.治らないことも普通にある

デメリットの1つめが、治らないことも普通にあるということです。こんなこと言ったら怒られるかもしれませんが、筆者の個人的な見解という範囲にとどめておいてください。
うつ病の原因がわかっていない以上、薬だけに頼るのは危険
筆者がこの記事を書いている現在、うつ病の原因ははっきりわかっていませんし、今後もわかるのかは知りません。それに、うつ病は「脳内神経伝達物質の乱れ」が原因で起こっているというのは定説になりつつありますが、筆者からすれば「それがわかったところでうつ病治るの?」と疑問を呈さずにはいられません。
うつ病は心という視えないものがトラブっているのに、それを全て「脳内神経伝達物質の乱れ」という一言で済ませて良いのでしょうか?それをケアする薬だけを飲んでいて良いのでしょうか?しかもその薬が効くメカニズムも、ハッキリ解明されていないのが現実です。
だから薬物療法と心理療法の2つのアプローチが大切なんて言う医者もいますが、心理療法を充実させるためのノウハウや機関が充実してからこのセリフは聞きたいものです。
薬を飲んでいるのに何年も治らないとならないために
筆者のように「薬を飲んでいるのに何年も治らない」とならないためにも、薬だけに頼るのはおすすめしません。かと言って別の選択肢がなかなか見つからないのが日本なのですが、最も大切なのは「心」という視えないものと向き合うということだと思っています。
なかなか難しいことではありますが、周囲のサポートを得て少しずつ前へと進んでいけば光が見えてくると信じたいものです。
2.治ったとしても再発のリスクが心配

続いてのデメリットが再発のリスクです。
薬で治るのは「対症療法」にすぎない
仮に薬で治ったとしても、それは対症療法にすぎないという考え方があります。うつ病に限らず、全ての病気がそうです。うつ病は心という視えないものが中心にあるのでなおさら。
抑うつや希死念慮といった症状が薬で治ったとしましょう。ですが、その原因が改善されていなかったら、また同じことになるのは時間の問題です。自分の心のパターンや奥底に抱えているもの、これらがケアされない限り、うつ病は永遠に後ろにあります。
本質と向き合うことが大切では?
なので、筆者はうつ病の改善は「本質と向き合う」ことがとても大切だと思っています。筆者を例にすれば、自分の症状のほとんどは自分の心のクセが引き起こしていたことがわかったので、それをマインドフルネスストレス低減法でケアしたところ、劇的に改善が見られました。
これがもし、薬にしか頼っていなかったならば、永遠に薬からは抜けられなかったでしょう。薬だけに頼ると薬から抜けられなくなる。皮肉なものですね。丸岡いずみさんのような例もあるので、薬が意味ないとは言っていません。ですが、薬だけで治らないケースも当然あるということを、頭にいれておきましょう。
したがって、主治医を見つける際には薬漬けにする最悪の医者に引っかからないように注意してください。
3.副作用がある

デメリットの3つめが、副作用が怖いという点です。
百害あって一利なしが頻発する
あくまで筆者の経験上の話ですが、うつ病の薬は百害あって一利なしが平気であります。幾つもの薬を飲んできた筆者は、合う薬を見つけるまで一苦労でした。しかも、抗うつ薬が効き始めるのは2週間後というのがセオリーなため、「副作用きついんですけど」と訊いても「とりあえず2週間飲んでみてください」と平気で先生に言われたりします。患者が薬で苦しんでるのに、平気でこんなこと言ってくる精神科医半端ねえ!
筆者が飲んできた薬の半分は、副作用しか感じなかったものばかりです。これを果たして薬と呼んでいいものなのかという怒りもあったりしますが、まあこれが精神医療なのでしょう。そう割り切るしかありません。
4.断薬が難しい

4つ目のデメリットが、断薬についてです。
日本の精神医療はやっぱりおかしい
筆者は、現在レメロンを飲んでいますが、その量は1/8錠です。これを寝る前。今まで断薬に挑戦してきたことは何度もありますが、なかなか難しいです。医者に言われるようにやったこともありましたが、自分のペースでできないのがストレスだったので、いまでは自分で薬量を調節しています。
ですが、正直一生飲み続けてもいいかなって思っています。筆者はこの記事からもわかるように、薬物療法にだけ頼る日本の精神療法は本当に頭おかしいと思いますし、実際あんなもの何種類も飲んでたら頭おかしくなると思っています(個人的見解です)。なぜ薬物療法にだけしか道がないのかと言われれば、だれかが得をするからであって、まあこれ以上はこの記事では触れませんが。
薬で楽になるならそれでいいじゃない
一方で、「うつ病に薬は絶対にダメ」とも思っていません。効くなら飲めばいい。楽になるなら飲めばいいと思っています。要は、心という視えないものに対して、画一的にしか対応できない日本の精神医療がおかしいだけであって、薬という選択肢はやはり魅力的というわけです。
したがって、断薬も無理に行う必要もないと思っているので、死ぬまでレメロンを飲み続けることになってもまあいいかなって思っています。以前は「薬とか絶対に飲みたくない!心理療法こそ最強!」と思っていたんですが、丸くなるものですね。諦めも若干入っていますが、それよりも1つのものに対するこだわりが小さくなった気がする。
こういった部分もうつ病を経て変わったところかな。1つにこだわる意味もないし、生きてくために必要なら仕方ないんじゃないでしょうか?
まとめ
ちょっと取り留めのない記事になってしまいましたが、参考になる部分があれば幸いです。
とりあえず筆者がこの記事で言いたいことは、
[say]薬物治療にもメリット・デメリットそれぞれあるから、ちゃんと理解した上で治療に取り組むことが大事だよ[/say]
ってことです。現在の精神医療では、
[list class="stitch-orange"]
- 薬物療法でうつ病は治る!
- メンタルの薬は金の無駄だから飲まない方がいい
[/list]
以上2つの極論が主流となっていますが、現実は「メリット・デメリット双方ある」ってのが正しい理解ですからね。また、うつ病の治療法には薬物療法以外にも「精神療法」というものがあるので、筆者自ら解説したこちらの記事についてもチェックしてみてください。
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また、うつ病にかかると「人生終わった。。」と思われるのが一般的で、筆者自身もそう思ってました。でも、コツコツ頑張ることでうつ病でも在宅ライターで月15万円の収入を得るに至っています。このリアルなプロセスについて語っている記事がこちらになるので、もしよかったら覗いてみてくださいね!
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最後まで読んでいただきありがとうございました。