うつ病になると十中八九医者から処方されるのが抗うつ薬ですが、症状が緩和された後、断薬するのがなかなか難しいという点がネックですよね。この記事をご覧になって頂いた方々も、
- 断薬がなかなか上手くいかない
- 断薬の難しさが気になって抗うつ薬を飲めない
こういった不安を抱いているのではないでしょうか?
そしてこの記事の筆者ですが、若干18歳の時から抗うつ薬を飲み始め、早いもので8年もの月日が経過した2018年某日、筆者は断薬に成功しました。
うつ病の方のほとんどは抗うつ薬を服用していると思いますから、筆者のこんな経験も誰かの役に立つかもしれないと思って、この8年を振り返り、今感じていることを書き連ねていこうと思います。
この記事の概要
筆者の断薬方法について
まずはじめに、ほとんどの方が気になるであろう、断薬を成功した方法について話していこうと思います。
筆者の薬歴
まず筆者の薬歴について簡単に説明しておくと、抗うつ薬のNaSSAに分類される「レメロン(一般名:ミルタザピン)」をメインに服用していました。この薬は抗うつ薬の中ではかなり新しい薬で、抗ヒスタミン作用という花粉症薬と同じようなメカニズムで眠気を創出してくれます。一応これは副作用の「傾眠」にもなっているのですが、筆者はこれを期待して主に不眠症への効果を期待していましたね。依存性が高くないのもいい。
あと副作用で過食というものもあって、一番キツかったときには食欲も落ちたりしてたんで、この薬にはかなり助けられました。
病院に頼らず完全自己判断
筆者の減薬・断薬方法は完全なる自己判断です。筆者は精神的にキツくなって精神科に行ってから数年で、
亜鈴
と見切りをつけたので、基本的に自分が感じることを最優先にしてきました。
したがって、「あ、そろそろ減薬いけるかも」と思ったら、先生に相談することなく勝手に減薬を行い、「きついなー」と思ったらまた戻す。「いけそう」と思ったら継続するって感じ。結果的にはレメロンを2錠から1、1/2、1/4、1/8という流れで、減薬期間2年ほどで断薬に成功しました。
このような自己判断は基本的にやってはいけないことだとされているので、みなさんは真似しないでください。
個人的な経験則ですが、レメロンを半分程度ずつ数カ月にわたって減薬していけば、目立った離脱症状などは出ないんじゃないかなーって思っています。もちろん、一気に飲むのやめたとかはNGなので、あくまで段階的に余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
病院には事後報告
そして、この過程でももちろん病院による指導やアドバイスなどは一切もらっていません。断薬した今も病院に言うつもりもなく、また報告するのもめんどくさいと思っているので、もしかしたらもう行くことはないかも。(追記:現在も処方なしで通っています)
筆者がここまで病院をアテにしない理由は、この8年でうつ病は「自分にしか治せない」という結論に至ったからです。自分の心は自分でも理解できていないのに、他人が理解できると思えなくなってしまったんですよね。。もしかしたらどこかに名医がいて、診療の結果自分のことを全部理解してくれるのかもしれませんが、そんなのを探すよりも自分で少しずつ色々と探っていったほうが良いと思いました。時間もお金もかかるし、てか多分いないしそんな医者。
もちろん、これは個人的な見解ですので、あらかじめご了承ください。
断薬による症状の再発は今の所ない
また、断薬による症状の再発は今の所ないですね。個人的にはどこからが症状でどこからが普通なのかとか気にしなくなったので、それもあるかもしれませんが、毎日お仕事をこなせるくらいには維持できています。
まあでもいつか再発するかもしれませんし、絶対に再発しないとも全然思っていません。再発したらしたでまた向き合っていけばなんとかなると思いますし、とりあえず毎日を必死に生きていきます。
断薬が成功した今、思うこと
断薬方法について説明したところで、断薬が成功した今、思うことを喋っていこうと思います。
自分にあった治療法・生き方が見つかってよかった
自分にあった治療法や生き方が見つけられたことは、断薬に大きく貢献してくれました。筆者は3年くらい前まで大学院を休学してニートをやっていましたが、休学した際は、
亜鈴
という状態でした。そこから色々と苦しみましたが、医者ではなく自分自身でどうにかしたいという思いだけは持っていたので、前々から気になっていた「マインドフルネス」に手を出してみることに。
このマインドフルネスが自分にあっていたようで、今までの「自分の中のイヤな感情や考えは全部変えなければいけない」という神経症的な性格がみるみる、マインドフルネスの「なんでも受け入れる」という中心概念に溶けていき、それに従って症状も落ち着いてきました。
なお、マインドフルネスを含めた「うつ病の代表的な治療法」について、筆者の経験談を交えて解説させて頂いた記事がこちらになるので、薬物療法以外の皆さんに合った治療法を見つけてみてはいかがでしょうか?

気合いを入れすぎて非常にボリューミーな記事となっていますが、筆者の経験をフルに活かした記事となっています。読んでいただければ嬉しいです!
普通の人生を諦めた
また、症状の改善に付随して「俺には普通の人生は無理だな」と思うようにもなってきたんです。筆者は大学院を休学してニートをしていましたが、心にずっと「大学戻って就活して働かないと」という気持ちがつっかかっていたんですよね。ですが、絶望に絶望を重ね、自分の人生に対して諦めがついた結果、
亜鈴
と、ルンルン気分で大学院に退学届けを出しにいきました。
で、「フリーライターに俺はなる!」みたいな軽いノリで一人暮らしを始めたら、なんか知らないけど人生充実してきました。普通の人生を諦めてもう幸せにはなれないことを悟ったんですが、どういうわけか幸せを感じることができています。
とまあこんな感じで、色々とうまくいってきて必然的に薬が必要なくなってきたみたいな、そんな感じです。やはりうつ病を経て、新しい自分になる的な側面はどこかで必要かもしれません。
追記:2019.01.25
フリーのWebライターとして活動することを決意してから、早いもので1年半経過しました。色々と大変なことが多かったですがコツコツ取り組んだ結果、今では「月15万円」という収入を得ることができています。
この金額をどう見るかはそれぞれですが、
- 経験値0
- 完全在宅
- うつ病持ち
以上3つの条件を満たした状態からここまでこれたことを考えると、よく頑張ったなと自分でも思っています。しかし、特別なことは何もしておらず、正直いって「誰でもできる」とさえ思っている次第です。
ここに至るまでのプロセスについて全てぶっちゃけた記事がこちらになるので、もしよかったら目を通して見てください。参考になる方もいるかもしれません。
亜鈴
薬に対してのこだわりを捨てたのが功を奏した
うつ病を患った当初は誰しも「薬なんか絶対に飲みたくない。こんなんで治るわけない。」と思ったことでしょう。怖いですしね。筆者も例に漏れずそうだったんですが、時間が立つにつれて、
亜鈴
と薬に対してのこだわりを捨てたんですね。
これがもし、「早く薬なんてやめないと。普通の人間に戻らないと」みたいにガチガチに思ってしまっていたとしたら、多分ですが断薬はできなかったと思います。筆者はもちろん減薬に何度も失敗していますが、こんな風にこだわりを持っていた状態で失敗すると、
亜鈴
みたいに、まるで全てが終わったかのように考えていたことでしょう。
一方、薬へのこだわりを捨てた状態で減薬に失敗したとしても、
亜鈴
みたいに軽く考えられるんですよね。こういった何かに対してのこだわりから抜けられることは、うつ病の改善には大切なことだと思っているので、あまりにも薬に対して執着がある状態なら、それはまだうつ病の寛解は先ということだとも言えると思います。
なお、この記事を読んでいる方々の中には、医者に言われるがまま「とりあえず」の意識で処方される薬を服用している方もいらっしゃるかもしれません。筆者なりに薬物治療のメリット・デメリットについて語っている記事がこちらになるので、もしよかったらチェックしてみてください。何かの役に立てば幸いです。

断薬後の感動は「特にない」
断薬に成功したらもっとこう、
亜鈴
と心踊る感じなのかなとか昔は思っていましたが、断薬に成功した今の心境は全然大したことないです。嬉しさはほとんどなく、驚くほどあっさりしています。
これはおそらく、「うつ病」という病気に対してのこだわりがほとんどなくなったからだと思います。言葉で表現するのは難しいんですが、うつ病だろうとなんだろうと自分は自分なので、抗うつ薬の断薬に成功したからといって特段自分にとって何かが変わるわけではないみたいな、そんな感じ。
強いて挙げるなら、寝る前の薬を飲む時間がなくなっただけで、薬を飲まなくなったという事実がそれ以外に自分にもたらすものはきっとないでしょう。正直、どうでもいいです。自分がうつ病だろうがなんだろうが、何も気にならない。
生き方の基準を外に作ると苦しい
うつ病というのはあくまで社会が私たちに貼ったレッテルに過ぎず、うつ病ということにしておけば色々とスムーズに世の中が回せるから「うつ病」なんです。それを「薬」というものがなくなったから「うつ病じゃなくなったから嬉しい」とするのは、自分の生き方を外基準で考えてることの何よりの証拠でしょう。もちろん、単に目標が達成された嬉しさみたいなものはありますけどね。
うつ病だろうがなんだろうが、薬を飲んでいようがいまいが、生きていられるならそれでいい。こんな感じに思えるようになったことが、結果的に寛解・断薬に寄与したのかなと思っています。
断薬なんて目標にしない。薬を飲んでいてもあなたはあなた
ということで、非常に取り留めのない記事になってすみませんが、思ったことをそのまま書いているので許してください。こんな筆者ですが、苦しみに苦しみぬいた上での今があるので、1mmくらいは皆様のお役に立つことができる部分があるのではないかと思って頑張って書きました。
で、最後に筆者が伝えたいことは「断薬なんて目標にするな。薬を飲んでいようがうつ病だろうがあなたはあなたです。」ということです。
自分基準で生きること
筆者が断薬をしたくてたまらなかった時にいつも思っていたのは、
亜鈴
ということでした。他のうつ病の方々がどう思っているかはわかりませんが、少なくとも筆者と同じような気持ちを抱いて断薬を焦っているならば、焦らずじっくりこだわりを捨てていくことをおすすめします。
ハッキリ言って、こういった焦りは症状に対して悪影響しか及ぼしません。焦りから不安が渦巻いて、結果的に症状は後退してしまうでしょう。筆者の経験上ですが。それなら、いっそのこと薬とかうつ病とかそういったことは気にしないで、自分基準で生きていくことを目指してみてはいかがでしょうか?
うつ病なんて所詮、社会や医療が作り出したものでしかありません。結局は、自分の中で何かがうまく回ってなくて、その結果生きるのに疲れてしまった状態なのですから、病気というよりは生き方の問題になってくるでしょう。ですから筆者が皆さんに伝えたいことは、
亜鈴
ということ。何度も言いますが、あなたがうつ病だって、抗うつ薬を飲んでいたって、あなたはあなたなのです。とりあえず今は飲んでおいて、肩の力を抜いて生きていく。外からの目やプレッシャーを気にせず、自分基準で生きていく。
これをしていけば、いつの間にか薬を飲んでいることや断薬がどうでもよくなってきます。こうなったらいよいよ「断薬」のタイミングなのです。
断薬はこれが基本です。無理して焦ることはせず、着実にいきましょう。もちろん、副作用が辛いとかなら話は別なので、今すぐに主治医に相談しましょう。
まとめ
断薬に成功しても、こんなにもあっさりしているものなんですね。誰かの役に立てるのかはわかりませんが、もし参考になる部分がありましたら幸いです。
当ブログでは、筆者のうつ病経験を基にした記事を随時追加しているので、もしよかったら他の記事も見てみてくれたら嬉しい。コメントなども非常に喜びます。
ブログ拝聴させていただきました。面白かったです。
私も抗うつ剤をのんでいるのですが、肝臓の数値が悪くなってきました。
薬のこだわりを捨てるとありましたが、体に数値として害がありそうな場合、マインドフルネスな考え方でもいいのですが、どのように考えたり、行動されたりしますか?
もし、お聞かせいただければ幸いです
けーすけさん、コメントありがとうございます!
抗うつ薬をおのみになっているということ、お辛い部分もあると思います。
マインドフルなスタンスで言えば、最も重要なのが「良いとも悪いとも思わない」ということですね。例えば体調が悪かったとしても、その症状をそのまま自分自身として受け入れる。症状というのは結局、自分自身に発生しているものですから、排除しようとすればするほど自分を否定することになり、うつ病の改善が妨げられます。従って、対象物をそのまま、中立的な視点で受容することが大事だと思ってます。
マインドフルな行動についてですが、これはちょっと難しいです。結局は、自分にとって「快」であることを生活に取り入れ、できる限りストレスを取り除くことが大事だと思ってます。うつ病になると「タンパク質を取って早起きして規則正しく生活しよう」なんてのが合言葉になってますが、それが自分にとって「不快」であるならば、見直してみるのもありです。もちろん、破滅的な生活になってしまうのは良くありませんが、自分にとってラクな生き方を見つけるためにも、「正しい」とされることを一度疑ってみるのもありですね。
長くなって申し訳ありませんが、ザッと思い浮かんだのはこんな感じです。けーすけさんのご回復を、お祈り申し上げます。
記事、拝読させていただきました。
わたしは、うつ状態と診断され、抗うつ剤少量を飲み続けてますが、状態が改善されてきたようには感じられないし、お薬を飲む事が不安、ストレスに感じてきて、状態の方は、自分の力で何とか出来そうな気がしてきて、お薬断薬していきたいなあと考えています。
勝手な断薬は危険だと思うから、主治医にちゃんと相談してみようとは思っています。
2か月くらいしか飲んでないけど、離脱症状とかあるのか少し心配ですが。。
うつ状態でも、何でも、わたしはわたし、そう思って生きていきたいです。
あきさん、コメントありがとうございます!
うつ状態と診断され、抗うつ薬を服用している現在、お辛いこともあると思います。
抗うつ薬の効く・効かないは本当に人によりけりで、飲んだら一発で治った方もいれば、なかなか効果が出ない方もいらっしゃるのが現実としてあります。こういったことから考えると、結局のところは、自分にとって「快」に繋がるなら飲めばいいし、「不快」にしかならないなら飲まなければいい話です(と筆者は考えます)。
なので、コメ主さんが飲む必要がないと感じるならば、一度その意思を主治医に伝え、薬物治療以外の選択肢を一緒に考えていけば良いのではないでしょうか?また、離脱症状などの説明もしっかりしてもらい、服用するメリット・デメリットを自分の中で考えることが重要です。
最後に。「病気」という言葉は、私たちにネガティブな印象しか与えません。ゆえに、うつ病というラベルが貼られた私たちは、自分を「ダメな状態」だと認識してしまいます。では、元気だった以前と、うつ病と診断された今では、一体何が違うのでしょう?
よく考えてみるとわかりますが、私たち自身は何も変わっていないのです。ただ身体が動かなかったり、マイナス思考に支配されてしまうだけで、私という存在は何も変わっていません。この誤解から、まず解き放たれることが大事だと考えています。
うつ症状の有無で私たちの存在の良し悪しが変わるなんて、そんなのあり得ません。いつだって、自分自身を認め、受け入れる。そういった考え方を持って、生きていきたいものですね。
長文失礼しましたm(_ _)m